散水車とは?構造や散水する方法を解説!
散水車は道路清掃に欠かせない車両で、街中でたまに見かけることがあると思いますが、意外とその構造を知っている方は少ないでしょう。
しかし、散水車の操作方法は、それほど難しくはありません。散水車の仕組みと使い方を知ることができればどなたでも扱える車両といえます。
そこで今回は、散水車について、その構造や散水・給水方法などの使い方などをくわしく解説します。
散水車とは
散水車とは、おもに道路を清掃するために利用する車両で、道路に溜まっている砂埃や細かいゴミなどが風で舞わないように水を撒いたり、清掃したあとの道路を水で洗う役割があります。
荷台部分には水を溜めるタンクと水を撒くポンプが設置されており、タンクには2000ℓ以上の水を貯めておくことが出来ます。
散水車の構造
散水車は荷台部分に水を貯めるタンクと水を撒くポンプを備えた車両で、仕組みとしてはとてもシンプルで使い方もさほど難しくありません。
散水車で水を撒くためにはポンプを動かす動力原が必要ですが、その動力源は大きく分けて「PTO式」と「外部エンジン式」2つのタイプがあります。
・PTO式散水システム
ユニック車やダンプ、ゴミ収集車にも搭載されているPTO。エンジンの出力を利用して動力を生み出す装置です。
PTOには使用状況によって次の3つのタイプがあります。
PTOタイプ | 特徴 |
トランスミッションPTO | もっとも一般的なPTO。トランスミッションの横に取り付けられ、車両停止時のみ作動出来る。 |
フライホイールPTO | エンジンに直接PTOを取り付けるタイプ。走行中にも作動が可能。 |
フルパワーPTO | エンジンとトランスミッションの間にPTOが取り付けているタイプ。大きな動力が必要な車両に採用。 |
散水車は走行しながら水を撒く作業をおこなうため、フライホイールPTOが採用されています。
・外部エンジン式散水システム
エンジン動力を利用して起動するPTOに対し、外部エンジン式は散水用のエンジンを別に設け、散水ポンプに動力を供給するシステムです。
別エンジンを利用しているため、車両エンジンの動力に関係なく散水作業をおこなえます。
散水車の給水・散水する方法
散水車が貯水タンクに給水や散水をする場合は、それぞれ正しい手順にしたがっておこなう必要があります。
ここでは一般的に多く利用されているPTOタイプの給水・散水方法について解説します。
給水方法
1.一般に散水車への給水は、まずタンク横にある切り替えハンドルを「停止」にし、エンジンポンプで呼び水を溢れるまで注ぎます。
呼び水をたっぷり入れないと給水が出来ないので注意が必要です。また、注ぎ口のキャップはしっかり閉めましょう。
2.水を吸水するためのストレーナー(吸水ホース)を井戸やプールなどの水中に入れます。
3.運転席でクラッチを踏みながらPTOスイッチをONにしたあと、運転席(もしくはタンク横)にある吸い込みバルブを倒しアクセルレバーを全開に引くと吸水が始まります。
4.吸水が終ったらストレーナーを水面から取り外し、タンクにつないでいるストレーナーを取り外します。この時、ストレーナーに残水があるので必ず抜くようにしましょう。
5.PTOスイッチをOFFにしたらストレーナーを本体に格納して終了です。
散水方法
1.切り替えハンドルが「停止」、ジェットポンプに呼び水が入っているか確認します。
2.散水ノズルを持ち、レバーを開いたら切り替えハンドルを排出位置にします。
3.運転席(もしくはタンク横)のアクセルレバーを全開に引き上げ、エンジンポンプを始動させて散水を開始します。
散水車の使用用途
散水車の使用用途はさまざまで、おもな散水場所(散水目的)は以下のとおりです。
- 道路清掃時の粉塵等の飛散防止
- トンネル壁面の清掃
- 工事現場などの砂塵の抑制
- 寒冷地での凍結防止の散布
- 道路上の街路樹への散水と周辺の清掃
- 道路舗装工事でのアスファルトを冷却する
- 工場などでの設備機器の冷却
- 競馬場での砂塵飛散防止
このように、散水車は道路以外でも活動箇所は多岐にわたります。
昭和30年代ごろの道路は整備が進んでいなかったため、道路の砂塵飛散防止のために散水車が活躍する機会がありました。
しかし今では、ほとんどの道路でアスファルト舗装がされているため、そのような目的での散水は少なくなっています。
また、道路清掃時には散水車が単独で走行することはありません。路面清掃車がブラシを回転させながらゴミを回収していくため、埃やゴミが飛散しないように先行して散水しています。
したがって、道路清掃時は散水車と路面清掃車の2台一組で作業することが必須です。
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散水車を運転する際に必要な免許
ここでは、散水車を運転するにはどんな免許が必要なのか解説します。
必要な免許
散水車を運転するためには自動車運転免許以外、特に資格などは必要ありません。
たとえばクレーン車なら小型移動式クレーンの資格が必要ですが、散水車の場合、散水作業をするための特別な資格や免許は必要ありません。
但し、運転する散水車の車両総重量によって、取得する運転免許が異なるので注意が必要です。
2007年(平成19年)以前はトラックの運転免許は「普通」と「大型」の2種類でしたが、2007年6月2日以降の免許改正により、中型免許があらたに導入されています。
2007年6月1日以前に免許を取得した場合
2007年(平成19年)6月1日以前に普通免許を取得している場合、中型クラス(いわゆる4トントラック)の運転が可能です。
この段階では、普通免許でタンク容量が2000ℓから4000ℓまでの散水車の運転が可能です。
それ以上の容量の場合は大型免許の取得が必要になります。
免許区分 | 車両総重量 | 最大積載量 | 免許取得資格年齢 |
普通免許 | 8トン未満 | 5トン未満 | 18歳以上 |
大型免許 | 8トン以上 11トン未満 |
5トン以上 6.5トン未満 |
20歳以上 経験2年以上 |
大型免許 (政令大型特に大きな車両) |
11トン以上 | 6.5トン以上 | 21歳以上 経験3年以上 |
2007年6月1日以降に免許を取得した場合
2007年(平成19年)6月2日以降はあらたに「中型免許」が導入され、「大型」「中型」「普通」の3種類になりました。
この段階では、普通免許でタンク容量が2000ℓから3000ℓまでの散水車の運転が可能です。
4000ℓの容量がある散水車を運転する場合は中型免許が必要になり、それ以上の容量は大型免許の取得が必要です。
免許区分 | 車両総重量 | 最大積載量 | 免許取得資格年齢 |
普通免許 | 5トン未満 | 3トン未満 | 18歳以上 |
中型免許 | 5トン以上 11トン未満 |
3トン以上 6.5トン未満 |
20歳以上 経験2年以上 |
大型免許 | 11トン以上 | 6.5トン以上 | 21歳以上 経験3年以上 |
その後、2017年(平成29年)3月12日より道路交通法の改正であらたに「準中型免許」が導入されました。
この段階では普通免許ではタンク容量が2000ℓまで、準中型免許が4000ℓまで、中型免許が6000ℓまで、それ以上が大型免許となりました。
免許区分 | 車両総重量 | 最大積載量 | 免許取得資格年齢 |
普通免許 | 3.5トン未満 | 2トン未満 | 18歳以上 |
準中型免許 | 3.5トン以上 7.5トン未満 |
2トン以上 4.5トン未満 |
18歳以上 |
中型免許 | 7.5トン以上 11トン未満 |
4.5トン以上 6.5トン未満 |
20歳以上 経験2年以上 |
大型免許 | 11トン以上 | 6.5トン以上 | 21歳以上 経験3年以上 |
さらに、大型免許と中型免許の受験資格が見直され、2022年(令和4年)5月13日より、下記のような区分に変更されました。
免許区分 | 受験資格 |
普通免許 | 18歳以上 |
準中型免許 | 18歳以上 |
中型免許 | 特別教習修了(36時限以上) 19歳以上 普通免許等保有1年以上 |
大型免許 |
最新の道路交通法では中型と大型免許の取得条件が緩和され、普通免許を保有して1年以上経っていれば特別教習の修了で免許取得が可能になりました。
まとめ
散水車は道路整備に欠かせない重要な車両。車を運転中、前方に散水車がゆっくり走行していたら、後方をよく確認しながらゆっくり追い越すことと、円滑な道路清掃が出来るように、指定箇所以外での路上駐車はやめましょう。
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