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トラックのオーバーハングとは?事故事例や事故を防ぐ対策を解説

普通車しか運転しない人には「オーバーハング」という言葉はあまり知られていないかもしれません。
オーバーハングは特にトラックに乗っている人には馴染みのある用語で、これを頭に入れて運転しないと思わぬ事故につながることもあるのです。
今回はオーバーハングについて、その重要性やオーバーハングを意識した運転方法などを解説します。

トラックのオーバーハングとは

トラックのオーバーハングとは車両のタイヤの中心を軸にして前輪および後輪から外側に出ている部分をいいます。
車両の前輪から前側のバンパーまでが「フロントオーバーハング」、後輪から後ろのバンパーまでが「リアオーバーハング」といい、これはトラックも普通車(軽自動車)でも同じですが、ほとんどがトラックに対して使われる用語です。
また、オーバーハングはトラックが右左折する時に、フロントやリアのボディがどれだけ道路の車線からはみ出すかを表す目安としても使われます。
普通車を運転中、オーバーハングを意識している人は少ないでしょう。なぜなら普通車はオーバーハングが短いため、そこまで気にしなくてもいいからです。
一方、トラックの場合、特にリアオーバーハングが長いため、運転するときには注意が必要です。
トラックは長いリアオーバーハングのため、内輪差(※1)が大きくなります。したがって普通車のように小回りをすると、思わぬ事故を引き起こすことがあります。
※1「内輪差」“内側の前後輪のタイヤの軌道の差のこと。車は曲がる時、前輪より後輪が内側を通るため軌道に差が出ること”

もし、普通車感覚で左折してしまうと、ガードレールや縁石との接触や、左折時に後続車や対向車線との接触事故を起こす可能性もあります。
また、大型トラックはフロントオーバーハングもある程度あるので、右左折時にミラーが周囲の標識や看板などに接触しないように大回りするなど、ハンドル操作にはコツが必要です。

オーバーハングの規定

オーバーハングには明確な規定があり、これは国土交通省の「道路運送車両の保安基準」で決められています。

自動車(ポール・トレーラを除く。)の最後部の車軸中心から車体の後面までの水平距離(空車状態の自動車を平坦な面に置き巻尺等を用いて車両中心線に平行に計測した長 さをいう。以下この条、第100条第6項及び第178条第6項において同じ。)に関し、保安基 準第18条第1項第3号の告示で定める基準は、最後部の車軸中心から車体の後面までの水 平距離が最遠軸距の2分の1(物品を車体の後方へ突出して積載するおそれのない構造の 自動車にあっては3分の2、その他の自動車のうち小型自動車にあっては20分の11)以下 であることとする。

引用元:国土交通省「道路運送車両の保安基準第18条(車枠及び車体)第3節 より一部抜粋

要するに、トラックで荷物を運ぶ時、「ボディからはみ出していい長さには規定がありますよ」ということです。
ただでさえオーバーハングが長いトラックには、荷物のはみ出しにも注意が必要です。
また、一部の大型特殊車両ではオーバーハングの規定が違いますので、詳細は「全日本トラック協会公式サイト」や「国土交通省 自動車運搬用車両に関する特車通行許可基準の見直しについて」を参照ください。

トラックのサイズ別オーバーハングの目安

トラックは大きく「大型・中型・小型」の3種類に分けられ、それぞれオーバーハングが違ってきます。
また、その時の速度でもオーバーハングが与える影響が変わってきます。

▼トラックの車種別オーバーハング

車種 リアオーバーハング
(目安)
与える影響
大型 約100㎝~120㎝ 左折時、前後部が反対車線に大きくはみ出す。
中型 約60㎝~100㎝ 左折時、後部がはみ出すことがある。
小型 数センチ程度 左折時の車線はみ出しは少ない。

大型トラック

大型トラックは全長が最大で12mもあり、必然的にオーバーハングも長くなります。
大型トラックの場合、フロントオーバーハングも他の車両よりも長く、右左折時にボディ前面が隣および反対車線へ大きくはみ出すので、ミラーの接触事故にも注意が必要です。
したがって、トラックのなかでは1番高度なハンドル操作が要求されます。

大型トラック一覧

中型トラック

中型トラックは大型トラックほどではないものの、リアオーバーハングは60㎝〜100㎝ぐらいあるため、左折時は注意しましょう。
また、中型トラックはロングボディやワイドボディなどもあり、その場合は標準の中型トラックよりもオーバーハングが長くなります。
したがって、車種によってはオーバーハングが大きくなることもあるので、大型と同じような運転技術が必要になります。

中型トラック一覧

小型トラック

小型トラックのオーバーハングはほとんどないといってもいいでしょう。
なぜなら、全長も大型や中型と比べて短く、オーバーハングも短いからです。
したがって、左折時も普通車のように曲がっても隣および反対車線へボディがはみ出ることがほとんどありません。
しかし、まったくオーバーハングがないわけではなく、長尺物を積んでいる時は後部にはみ出していることもあるので、その時はリアオーバーハングを意識して運転しなければいけません。

小型トラック一覧

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トラックのオーバーハングによる事故事例

トラックは全長が10mを超えるものもあり、道路を右左折する時に車体後部が隣および反対車線にはみ出してしまいます。
2016年の3月21日に東京都江東区の交差点で、電柱を荷台に積んだ大型トラックが左折しようとしたところ、車体からはみ出していた電柱の後部が隣の右車線を走行していたバスに接触し、窓ガラスが割れて乗客がケガをする事故が発生しました。
トラックが後部から荷物をはみ出していい長さは、「トラックの全長の10分の2までと道路交通法で決まっており、このトラックもその基準を守っていました。
さらに電柱の先端には赤い布を取り付け、他の車両にも分かりやすくしていたにもかかわらず、このような事故が起こっています。
トラックで長尺物を運ぶ場合、長い物だと1mほど後部からはみ出すこともあります。
したがって、道路を曲がる時にはリアオーバーハングを意識し、ミラーで隣や反対車線を走行している車両がいないか、十分に確認することが必要です。

トラックのオーバーハングを防ぐための対策

トラック運転時のオーバーハングによる影響として

  • 左折時に内輪差で後ろのタイヤが縁石に乗り上げる
  • 右左折時にボディ後部が隣車線や対向車線の車両と接触する
  • 右左折時にミラーが道路標識等に接触する

などがあります。
ここでは、トラックのオーバーハングによる事故を防ぐための対策を3つ紹介します。

・内輪差を意識する

トラックはボディが長いため、普通車とくらべて内輪差が大きくなります。特に左折する時は内側の後輪が縁石や歩道に乗り上げる危険があるので、注意が必要です。
普通車のような小回りは事故の原因になるので絶対にしてはいけません。

・両方のミラーで確認する

ミラーで目視することもオーバーハングの事故防止には重要なことです。
例えば、左折する時は左側のミラーを見ながら後輪が縁石に接触していないか、歩道に乗り上げていないかなど、内輪差に注意しながら曲がります。
そして運転席側のミラーではオーバーハングを意識しながら後続車や対向車線の車に接触しないように注意しながら曲がることが事故防止の重要なポイントです。

・左折時は道路に左寄せをする

トラックで左折する時は、なるべく道路の左側に寄ることにより、オーバーハングを最小限にすることが出来ます。
同時にミラーが接触しないようにフロントオーバーハングにも注意しながら曲がりましょう。

・右折時はゆっくりハンドルを切る

右折する時はゆっくりとハンドルを切ることとタイミングが大事です。
普通車の感覚でハンドルを切ると、内輪差で信号待ちをしている反対車線の車と接触する可能性があります。
逆にハンドルを切るタイミングが遅いと、フロントオーバーハングが長い大型車は、電柱や標識にミラーやボディが接触することがあるので注意が必要です。
特に大通りから狭い路地に曲がる時は「ゆっくり、正確な」ハンドルさばきが重要になります。

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まとめ

オーバーハングはトラックを運転するために知っておかなければならない知識です。
これまで普通車しか乗ったことがない人が、トラックドライバーに転職することもあると思います。
その時はオーバーハングを意識した運転で安全運転を心がけましょう。

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