トラックのエアドライヤーの仕組みや交換時期、故障した際に生じるトラブルを解説!
トラックのエアドライヤーはエアブレーキを搭載しているトラックには欠かせないもので、エアドライヤーが故障するとブレーキが効かなくなる可能性があるので危険です。
今回はトラックのエアドライヤーについて、仕組みや交換時期、また故障した時にどんなトラブルが発生するのかなどを解説します。
トラックのエアドライヤーとは
トラックのエアドライヤーとは、トラックが安全に止まるために必要不可欠な部品です。
トラックのエアブレーキはエアタンク内に充填している「圧縮エア」が大事で、エアが不足したり油分が入ったりするとエアブレーキが効かなくなり危険な状態になります。この時に必要なのがエアドライヤーです。
外から取り入れた空気に含まれる水分や油分、不純物などをエアドライヤー内にある乾燥剤とフィルターで除去し圧縮エアにすることで、エアブレーキが正常に作動する仕組みになっています。
大型車や中型車は強力なブレーキ性能を要求されるので、このようなエアドライヤーはトラックが安全に止まるために必須な部品といえます。
どうしてエアドライヤーが必要なのか
エアドライヤーがエアブレーキ性能に必要なのは、良質な圧縮エアを作り出すためです。
エアブレーキを作動させるための圧縮エアはバタ踏み(※1)することでエア切れが発生し、ブレーキが効かなくなることがあります。
※1「バタ踏み」
ブレーキペダルを踏んだりゆるめたりすることを短時間で何回も繰り返すこと。
エアブレーキの圧縮エアは高温多湿になるため、そのままだとブレーキが正常に作動しなくなり、トラックが安全に止まらなくなる恐れがあります。それを防ぐために必要なのがエアドライヤーです。
したがって、エアブレーキにはエアドライヤーがなければ成り立たないといえます。
エアブレーキの圧縮エアに含まれる水分や油分を除去することで、トラックのブレーキ性能をフルに発揮し、安全な走行をサポートしてくれるために必要不可欠なのです。
車重が重い大型車や中型車にはエアブレーキが搭載されているため、必然的にエアドライヤーも装備されています。
トラックのエアドライヤーの仕組み
トラックのエアドライヤーは一般のドライヤーとは違い、単純に乾かすものではありません。コンプレッサーで圧縮されたエアに含まれる水分や油分を乾燥させ、エアタンクに入る前に取り除く「ろ過器」の役割をするものです。
エアドライヤーには乾燥剤が入っていてコンプレッサーで圧縮されたエアをエアタンクに入る手前で乾燥(ろ過)されて取り込まれます。
エアドライヤーがないと、エアタンク内に水分や油分が入り込み、ブレーキ性能が十分に発揮されない、もしくは効かなくなることがあるのです。
また、エアドライヤーで乾燥されたエアは全てエアタンクには取り込まずに一定の量をエアドライヤーに残しておき、エアドライヤーの乾燥剤に吹きかけることで、再生する役目もあります。
トラックのエアドライヤーが故障した際に生じるトラブル
トラックの部品であるエアドライヤーは消耗品のため、使用中に故障することも考えられます。もし、エアドライヤーが故障すると、トラックのブレーキに重大な影響があるので絶対に避けなくてはいけません。
エアドライヤーが故障すると、乾燥剤に取り込む油分が除去できなくなります。
油分を含んだままの乾燥剤は劣化してしまうので、そのまま放置するとブレーキが効かなくなり、そこから重大な交通事故を起こしてしまう可能性があるのです。
それだけエアドライヤーの故障は、トラックにとって致命傷といっていいほどのことなので、定期点検の実施や一定期間使用したら交換するなどの対策が必要です。
エアドライヤーの故障で下記のような症状が発生します。
乾燥剤
エアドライヤーの主要パーツである乾燥剤は、白い粒状で構成されており、水分や油分が付着すると徐々に黒く変色し劣化していきます。
そうすることでエアタンクに油分が入り込み、ブレーキが効かなくなる可能性があります。
乾燥剤は定期的にチェックして、黒く変色してきたかな?と感じたら、すみやかに交換することをおすすめします。
チェックバルブ
逆止弁が正常に作動しなくなり、圧縮したエアの流れが乱れることで、エアドライヤーの作動に異常が生じ、ブレーキが効かなくなる可能性があります。
逆止弁は自分ではチェックしにくい箇所なので、少しでもブレーキの効きがおかしいなと思ったら整備工場で点検してもらいましょう。
ガバナ
エアドライヤー全般の制御をおこなうのに必要なのがガバナです。ガバナが故障すると、圧縮エアラインの圧力検知やコンプレッサーの制御が正常に出来なくなり、最悪はブレーキが効かなくなる可能性があります。
制御装置の故障はおもに配線関係です。配線は経年劣化で徐々に腐食してくるので、異常がなくても定期的に目視点検することをおすすめします。
エギゾーズトバルブ
ガバナからの指令を受けてエアドライヤーの除湿や再生をおこなう部品がエギゾーズトバルブです。
高温で圧縮されたエアを排出する重要なもので、エアドライヤーが故障すると燃焼ガスを排出する排気弁が正常に作動しなくなり、ブレーキ性能に大きな影響がでます。
逆止弁同様、制御装置が故障するとブレーキに大きな影響があるので、異常を感じたらすみやかに整備工場で確認してもらいましょう。
トラックのエアドライヤーの定期点検
エアブレーキが正常に作動するために必要なエアドライヤーは乾燥剤の機能低下でブレーキ性能に影響が出るため、定期的な点検が必要です。
乾燥剤はコンプレッサーから送られるエアに含まれる油分や水分によって徐々に劣化していきます。
乾燥剤が劣化すると油分や水分の除去機能が低下し、さらにそのまま放置していると、ブレーキ系統の作動不良につながり、最悪はトラックが動かなくなる恐れもあります。
日常点検では、エンジンをかけてエア圧が充填されたらエアドライヤー下部のエキゾーストバルブからエアが排出されることを確認することで問題ありません。
その後、3ヶ月もしくは15,000キロ走行ごとにエアドライヤーから排出される水をチェックし、エアタンクからの漏水やオイルが異常に出ている時はすみやかに整備工場へ点検や整備に出しましょう。
トラックのエアドライヤーの交換時期
エアドライヤーの交換時期はトラックの車種によって違いますが、各メーカーでは交換の目安を下記のように推奨しています。
▼エアドライヤーの交換時期(メーカー推奨)
トラックの種別 | 交換時期 | 交換部品 |
中型トラック | 1年もしくは6万キロごと | ・乾燥剤 ・フィルター ・ゴム部品 |
大型トラック | 1年もしくは10万キロごと | 同上 |
エアドライヤーの交換費用
エアドライヤーの交換費用は車種や制御システムによって違います。
▼エアドライヤーの交換費用(目安)
エアドライヤー | 交換費用(工賃含む) |
新品 | 約50,000円~60,000円 |
中古品 | 約25,000円~30,000円 |
交換費用は決して安くはありませんが、エアドライヤーの故障はトラックのブレーキ性能に大きな影響を与え、重大事故につながる恐れもあるので、必ず定期的な点検と交換はおこなうようにしましょう。
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まとめ
エアドライヤーの特徴と故障した時の症状を正しく理解しておけば、未然にトラブルを防ぐことも出来ます。
また、エアドライヤーの定期的な点検と交換をおこなうことで、トラックも長く乗ることが出来るし、それが車両事故を防ぐことにも繋がります。
その他ご不明点やご質問などもお気軽にご相談ください。